関連法律2

和解離婚

2003年の人事訴訟法改正で、認諾離婚とともに新設されたものが和解離婚です。離婚訴訟中、当事者が歩み寄ることによって和解した場合に、訴訟を終わらせて、裁判所の判決以外の方法で離婚することを和解離婚と言います。
裁判に勝った、負けたではなく、和解によって離婚が成立するものです。離婚訴訟中に離婚の合意がなされた場合には、和解調書が作成されて和解離婚が成立します。和解調書は裁判所によって作成されるもので、判決と同じ効力を持っています。

有責配偶者の離婚請求

原則的に法律では、たとえ有責配偶者が離婚を請求しても、その訴えは退けられることになっています。 ただし、夫婦関係が既に破綻していることを前提とした場合には、夫婦の間に未成熟子がいないことや、長期にわたり別居していること、離婚成立後も無責配偶者が精神的・社会的・経済的に不利益な状況に陥らないことを条件に認められる場合もあります。

有責配偶者

離婚の直接の原因を作った側の配偶者のことを言います。 具体的には浮気や不倫などの不貞、ドメスティックバイオレンスなどの家庭内暴力などで、離婚の原因を作ってしまった配偶者のほうを有責配偶者、そうではない側は無責配偶者と呼ばれます。 有責性を持っていない無責配偶者は、有責配偶者に損害賠償などを請求することもできます。 そして、このときの損害賠償の金額には、有責性の度合いが一つの指針となります。 また、原則的に、有責配偶者は離婚請求をすることはできませんが、条件によってはそれも可能であるとされています。

有責性

離婚問題で言われるところの有責性とは、離婚の直接的な原因を作ってしまった事実がもつ責任です。 離婚原因は、夫婦の一方がその理由を作ってしまったケースが多く見られます。 例外的に両者に有責性がある場合もあり、これは双方有責と呼ばれています。

モラルハラスメント

精神的な暴力、嫌がらせのことをモラルハラスメントと言います。略してモラハラとも呼ばれるモラルハラスメントは、肉体的な暴力であるドメスティックバイオレンスとは違って、言葉や態度などを使った精神的な暴力です。初めのうちは態度、口調など些細とも言えるようなやり方を使い、被害者を非難し、行動をコントロールしようとします。被害者が抵抗を始めると、中傷や罵倒など精神的な暴力を振るうようになります。

モラルハラスメントは肉体的な暴力と違って目に見えないもののため、理解されにくいという特徴があります。家庭では、自分がモラルハラスメントの被害者になっていると気がつかないケースもあります。

法定離婚原因

裁判離婚をする場合に必要となるものが法定離婚原因です。 協議離婚の場合には、離婚原因に制限はなく、夫婦で離婚を合意すれば離婚することができますが、裁判離婚で離婚を認められるためには、法定離婚原因に該当している必要があります。 法定離婚原因に該当しており、証拠があった場合に離婚を認められます。 法定離婚原因に該当しているかどうかは、裁判官の判断によります。 民法で定められた法定離婚原因は「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「回復の見込みがない強度の精神病」「婚姻の継続が困難な重大な事由」の5つです。

扶養義務

夫婦や親子、親族関係から生じた扶養の義務のことで、民法で定められている事柄です。 該当するのは扶養を必要とする当事者の配偶者、直系血族と兄弟姉妹、特定三親等内の親族です。

不貞行為

性的関係を配偶者以外の者と自由意思に基づいて持つことを不貞行為と言います。 一般的に言う浮気のことが不貞行為と呼ばれるものです。 密会等があっても、性的関係がない場合には不貞行為に該当しません。 配偶者に不貞行為があった場合には、不貞行為を理由にして離婚を請求することができます。 しかし、離婚請求を不貞行為を理由に行う場合には、配偶者の不貞行為を立証する必要があります。 また、法定離婚原因として認められるためには、一回だけではなく、不貞行為が繰り返されている必要があります。

扶助

援助とも言います。 離婚問題においては、経済的な援助の意味で良く使われる言葉です。 離婚した夫婦間で利用されるときは、一方が相手に支払う生活費や養育費などをさします。

復籍

結婚や養子縁組などを理由に他の戸籍に入っていた者が、離婚や離縁によって元の戸籍に戻ることを意味しています。 しかし、原則的に元の戸籍主が存命していなければなりません。 そうでなかったときには新しく戸籍を作るための申し立てします。

夫婦関係調整(円満調整)

夫婦間調停は、何も離婚を目的としているものばかりとは限りません。 夫婦関係の修復を前提として行われる調停もあります。 家庭裁判所で執り行なわれるそれらは、夫婦関係調整や円満調整、夫婦関係円満調整などと呼ばれています。 調停は夫婦双方から経緯を聞き取り、不倫やギャンブル、飲酒など、夫婦の間で問題となっている事柄を解決すべく話し合いが行われます。 そののち、改善の合意が得られた場合には調停調書に文書として残されることとなります。 しかし、残された文書内容については裁判所からの強制は認められていません。 問題行動を改善するか否かは本人の自由意思によって決定されることとなります。

判決離婚

協議離婚として話し合いでは解決に至らず、家庭裁判所の調停離婚や審判離婚でも離婚成立とならなかった場合には、地方裁判所に人事訴訟による離婚の訴えを起こすことができます。 その裁判の判決で離婚を成立させることが可能です。 これは判決離婚と呼ばれ、協議離婚や調停・審判離婚とは異なり、「法廷離婚原因」と呼ばれる離婚の原因や理由が法律で定められています。 裁判所から下った判決によって、たとえ一方に離婚の意思がなくても強制的に離婚成立となります。

配偶者暴力相談支援センター

配偶者からの暴力に関する相談やカウンセリングなどが行われているところで、問題を解決に導くための施設です。 各都道府県に設置されていて、婦人相談所・福祉事務所・女性センターなど、その他の施設に設けられています。

認知

離婚に関する「認知」は、夫婦関係ではない男女の間に生まれた非嫡出子が対象となります。父親、もしくは母親が自らの実子であると認めた上で、法律によって親子関係であることを証明するものです。母親が父親に対し認知を請求するケースが数多く見られます。子供が父親の実子である限り、認知の拒否は法的に認められていませんが、仮に父親がそれでも認知を拒否したときには民法に則って強制的に認知をさせることができます。これにより、父親に扶養請求権、遺産相続権などを請求することが可能となります。

認諾離婚

2003年の人事訴訟法改正で、和解離婚とともに新設されたものが認諾離婚です。 離婚訴訟中、訴訟を起こされた側(被告)が訴訟を起こした側(原告)の言い分を全面的に受け入れ、離婚が成立することを認諾離婚と言います。 離婚訴訟中に訴訟を終わらせて離婚を成立させることが出来ますが、離婚そのもの以外に親権者問題や財産分与、慰謝料などの訴えがある場合には、認諾離婚で離婚を成立することは出来ないことになっています。 認諾調書に、訴訟を起こした側の離婚請求を起こされた側が認諾したと記載することで訴訟を終わらせると、離婚が成立します。 認諾調書は判決と同じ効力を持っています。

任意認知

父親が任意の上で、摘出でない子を自分の子供であると認知することで、「認知」の一つに含まれています。 戸籍法の定めに則って、手続きは各市町村の役場に届け出る決まりになっています。 遺言による認知も認められており、その場合は遺言執行者が認知届を提出します。 成年の子を認知する場合にはその子の承諾が必要であったり、母親の承諾があれば胎児の認知も可能であったり、死亡している子も直系卑属が存命してる限り認知ができたりと、例外もあります。

内容証明郵便

郵便局が謄本の一通を保存した上で、その内容を証明をする特殊取扱郵便の一種です。 慰謝料の請求などの通告に利用されています。

ドメスティックバイオレンス

家庭内暴力を意味し、頭文字から「DV」と略されます。物理的な暴力行為のみならず、精神的に影響を与える暴言・行為、性的暴力なども含まれます。親から子供へのドメスティックバイオレンスの他、父親から母親へのドメスティックバイオレンスの報告例も多く存在します。それ以外にも、父親から祖父母への暴力、祖父から祖母への暴力など、家庭内で起こる暴力行為の全てがも全てがドメスティックバイオレンスに含まれます。

また、婚姻関係に至っていない男女の間にも存在することでも知られています。家庭という限られた環境の中で起こることから、発覚しずらく、暴力がしだにエスカレートして犯罪化することもままあります。

特約条項

離婚に関してでは、夫婦の間で取り決めた法律上以外での約束などを言います。 強制法規や公序良俗に反する約束は行えません。

常居所

長い歳月、常時居住していた場所であり、生活の基盤となっている土地のことです。 住民登録をしている場所も意味しており、国際離婚などの場合で、どの国の法律を適用すべきか判別不能なときに常居所がどこかで判断されることもあります。

調停前置主義

裁判離婚を行うためには、事前に必ず家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。 調停で離婚が不成立になって始めて裁判が行われます。 これは、民法によって、案件はできる限り協議や調停で解決するようにと義務付けられているからです。 また、調停で離婚が不成立になっても、裁判を起こすにはある一定の理由がなくてはなりません。

調停委員

調停委員会で離婚調停などを行う委員を表しています。 民事の調停は、裁判官(主任)と二名以上の民間人によって行われます。 離婚調停では、調停委員は法律に厳しく照らし合わせていくよりも、むしろトラブルの内容や過去の実績にあわせてできる限り円満に解決することを目指していきます。

懲戒権

民法の親権の「身上監護権」によって守られている権利で、これにより親権者は子供に対し、しつけのためにしかることができます。

セックスレス

セックスレスとは、夫婦間で性交渉(セックス)がないに等しい状態のことを表しています。 離婚の調停や裁判などでは、夫婦関係が破綻していることの証明となる重要な事柄です。

積極的破綻主義

夫婦関係に破綻をきたし、別居している状態の夫婦に積極的に離婚を認める傾向があり、これを「積極的破綻主義」と言います。破綻主義はもともと、夫婦の関係性が破綻していることを考え、有責配偶者からでも離婚の申し立てが可能にできることを示していました。破綻主義では、婚姻関係を続けるよりも離婚したほうがお互いのためであろうという判断のもと、たとえ一方が離婚を望んでいない場合でも、離婚が認められます。

棄却

裁判所に申し立てられた訴訟のうち、審理の結果、訴訟の理由がないと判断され、請求などが退けられたことを言います。 中には手続きにミスがあったり、期日が過ぎていたなどの理由から棄却されるケースもあります。

間接強制

期日になっても約束した支払いが履行されない場合や、金額が満たされていない場合は、債務不履行となり、一定の制裁金を支払うよう、裁判所を通じて命じることができます。 間接強制とは、このような手続きによって履行を心理的に強制する制度のことで、強制執行とは異なり、相手の財産を把握する必要はありません。 申し立ては相手の所在さえ分かっていれば行うことが可能です。

乙類審判事件

家事審判事件は家事審判法の九条一項乙類に定められた事件で、家事調停の対象になるか否かによって甲類審判事件と乙類審判事件に分けられています。具体的には、乙類審判事件には、子の姓の変更許可、養子縁組の許可、後見開始の審判、失踪宣告などが挙げられます。

乙類審判事件は、当事者の合意があれば解決できる内容となっています。従って調停を申し立てることもできます。

調停と審判、どちらを選ぶかは当事者の意思に一任されていますが、たとえ審判の申し立てがあった場合でも、家庭裁判所が話し合いによって決定するのが妥当と判断した場合には、調停に託すことができます。

また、この審判には即時抗告することが可能なものも含まれています。ただし、その場合は告知を受けてから2週間以内に行わなければなりません。

居所指定権

監護教育の任務を果たす責任があることから、親は子供の居所を指定することができます。 親権の一つである身上監護権に属しています。

慰謝料請求権

何らかの不法行為を受け権利を侵害された場合、被害者は加害者に対して精神的な苦痛を被ったことに対する損害賠償の権利を持つことになります。生命侵害や、もしくはそれと同じ程度の精神的苦痛を受けた場合、損害賠償は被害者本人に限らず近親者にも認められています。判例では、慰謝料請求権の存続性についても被害者の意思表示の有る無しを問わず認めているため、もし被害者が亡くなっていた場合にも親近者は権利を行使することが可能です。

悪意の遺棄

民法752条「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」に基き、夫婦には共に同じ家で暮らし、お互い協力し合い、助け合うという三つの義務があります。

正当な理由なく、もしもこの三つの義務を故意に履行しなかった場合は、それは「悪意の遺棄」と見なされます。

法律用語での「悪意」とは、ある事実を認識しているにも関わらず、それを無視したり放棄したりすることです。
「遺棄」は、義務への違反を意味します。

例えば、配偶者が体調を崩しているにも関わらず看病もしなければ救急車も呼ばなかった場合や、生活費となる金銭を家計に入れなかった場合は協力義務違反が問われますし、炊事洗濯などを怠った上に家に寄り付かなくなるなどといった場合は、同居義務違反に当たることがあります。

つまり、「悪意」とは、夫婦の共同生活が成立していない状態であるばかりではなく、それを故意に企てたり、破綻をきたしてもかまわないという意思が本人あった場合のことをさしています。

「遺棄」は、夫婦の同居・扶助・協力の3つ義務に違反する行為そのもののことを言います。
共同生活が続けられなくなるような言動を起こしたり、相手を置いて家を出るといった行動のみならず、相手を家から追い出す行為もこれには含まれています。

3年以上の生死不明

配偶者が3年以上生死不明である場合、裁判離婚を行うことができます。 期間は配偶者の最後の消息が確認できた時点から3年です。 その後も生死がはっきりとわからない場合は、当事者不在のため協議離婚や調停離婚を行うことはできないので、裁判所に申し立てをし、認めてもらう形で離婚が成立します。 また、その場合、生死不明となった理由は無関係となります。 もしも、裁判離婚後に生死不明だった配偶者が突然現れたとしても、この離婚は撤回されません。

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