ほのかに香る浮気の香り

香水

香水

仕事が忙しくてなかなか顔を合わす時間がなかった妻。メイクを変えたとか、髪型を変えたとか、外見の変化に全く疎い私でも、新しい香りだけには敏感に反応した。

「こんな匂いの香水を妻が付けるはずがない。」とそんな違和感を感じ、浮気の証拠を探した結果…

一瞬の違和感は確信に変わる。

結婚して10年が過ぎた。仕事ではそれなりの地位についた。給料と同時に仕事の量も格段に増えていった。景気動向など全く関係なく、昼夜問わずに忙しくしている毎日を過ごしていた。

いつしか妻の体形や髪型や服装などに全く関心をもたなくなってしまった。

久しぶりの休日。疲れきった体を癒すために午前中いっぱいは寝ようと思っていた。妻は陽気に鏡で服装をチェックしていた。ふとどこにいくのかが気になったので、玄関で靴箱からヒールを取り出す後ろ姿に近づくと、とても刺激的な香りがした。

結婚して10年、知り合ってから15年以上たつが明らかに妻が付けそうな香りではないと瞬間に分かった。

たった一臭でも分かること

外見には全く疎い私でも不思議なもので匂いだけはすぐに分かった。妻がこの香水をつけるはずがないと。

偶然だとか誤解だとか気のせいだとかは全く思わなかった。一瞬で確信したのだ。妻は他の男とできていると。変な話だが、違和感を感じることができた夫としての自分に感心した。

妻の化粧台には、妻が買わない高級ブランドの香水ボトルが置いてあった。すぐに問い詰めたところで絶対にはぐらかされると思った私は、ひっそりと確実に証拠を探すことにした。

まずは妻が外出中に、机の中やかばんの中を隅々まで確認した。なにも見つからなかった。さすがに写真を置いているようなことはなかった。そこまで下に見られていないと分かって少し安心した。

浮気の香りの後を追う

次に妻が寝ている間に携帯をこっそり見た。暗唱番号が分からなかったが、指で辿る暗唱番号だったので、毎晩何回もしていると自然に解除できた。携帯のLINEを見ると、男とのやりとりがずっと残っていた。毎週合っていることと、今週末も会う予定だということが分かった。壊れるくらい携帯を強く握りしめた。

週末になった。私も妻の変化に気付いていないが妻の私の変化には気付かなかったみたいだ。この関係を終わらせることに悲しみが込み上げてきた。

妻は陽気に鏡で服装をチェックしていた。いつもと同じヒールを靴箱から取り出す。あの独特の香水をつけて玄関のドアを開く。私もその匂いを辿っていく。目的地は昨日確認済みだ。会ってどうするのかは分からないが、自分の手で終わらせることになるだろう。いつかの誕生日に妻からもらった香水をつけて家を玄関のドアを閉めた。

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